【新・関西笑談】リヤカーマン世界を歩く(4)冒険家 永瀬忠志さん(産経新聞)

 ■ジャガーと幼子が思い浮かび船移動 帰国後悔しさ募り、再びアマゾンへ。

 −−アフリカを踏破されて、次は南米大陸でした

 永瀬 そうですね。まだ行ったことのない所へ行きたいということで、47〜48歳にかけていきました。プエルトラクルス(ベネズエラ北岸)からウスアイア(アルゼンチン南端)まで南米大陸を縦断すれば、今までに歩いた距離が赤道一周分4万キロ超えると思っていたんですが、思うようにいきませんでした。

 −−どんなアクシデントが待ち受けていましたか

 永瀬 ベネズエラを出発して、ブラジル、アマゾンに入ったんですけど、アマゾンでカレイロという町に着いたときに、町の人から「この先にはオンサがいる。オンサは人を襲う。とても危険だ。1人で歩かない方がいい」と散々忠告を受けたんです。最初、オンサが何だか分からなかったんですが、そのうちに表情とか表現からジャガーのことだと分かりました。

 −−また物騒な話です

 永瀬 次の町まで580キロ離れていて、「船で行った方がいい」と言われました。夜、町のホテルに泊まり、迷い迷ってなかなか眠れなくて。「よし、行こう」と思うんだけど、「やっぱりやめとこう」と気持ちが揺れました。旅に出るときに次男が生まれていて、生後11カ月の時でした。大阪空港まで見送りに来てくれたんですが、まだベビーカーに乗せられていて、その幼子の顔が思い浮かび、ジャガーの顔も思い浮かぶし。幼い子が待っていると思うと、この先歩いていく決断がつかず、結局船に乗って、580キロ先の町まで移動したんです。そんなことがあり、地球一周4万キロという距離に届かなかったんです。

 −−300キロ余りでした

 永瀬 はい。もうちょっとだったんですけど。それで、沖縄一周をして、とりあえず4万107キロに到達しました。

 −−でも、以前のアフリカの場合と同様、永瀬さんは納得されていなかった

 永瀬 そうなんです。旅が終わってから、「あそこ歩かなかった」というのが、悔いとして残っちゃいまして。帰国後も、その気持ちがだんだん強くなっていくもんですから、2年後、子供も2、3歳になったもんですから、「まぁいいか」と思って、またアマゾンへ行ったんです。

 −−南米帰国後に衝撃的なこともあったそうですが

 永瀬 次男の話です。生後11カ月の時に南米へ行って、帰ったのが10カ月後ぐらいでした。降り立つと、また家族が大阪空港まで迎えにきてくれていたんですが、久しぶりに会ったら、母親の陰に隠れて、知らないおじさんに会ったみたいな様子。ちょっと話をしてから「じゃ、帰ろうか」と言ったら「バイバイ」と言う。全然父親と思っていなかったみたいです。一緒に家に帰って食事して、布団敷いて寝るから、「この人一体何だろう」と不思議そうに見ていました。

 −−忘れられていた?

 永瀬 数日たつうち、一緒にいるのが当たり前になってきた感じですけど。普段一緒に生活していると、「お父さんは嫌いだ」とか、憎まれ口たたいてますが、たまに旅に出て、帰ってくると、エラい歓迎してくれて、「お父さん帰ってきた」などと、留守の間に母親に買ってもらったおもちゃを見せに来たりしてくれる。たまには留守がいいかなと思うんですね。(聞き手 谷田智恒)

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